名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2092号 判決
原判決がその判示第四の事実の認定に供した証拠として所説のように牧原ちよ子、稲葉悦次郎、高木清太郎、久納留吉の各司法警察吏に対する各供述調書を挙示していること、原審第四回公判調書に所説のように右各書証の原本について証拠調の請求がなされ且つその証拠調がなされた上その原本が原審に提出せられたと解せられる記載のあること及び本件記録には所説のように右各書類の原本は見当らずしてその各謄本のみが編綴せられていることは何れも記録上明らかなところである。而して右説示に徴し原審においては右各書証の原本についてその証拠調手続をなしよつて原判決がその各原本を右原判示第四事実の証拠として挙示したものであり、ただ原審に提出せられたものは右各証拠の謄本であつたことが明らかであるところ、刑事訴訟法第三百十条の規定によれば証拠調を終つた証拠書類又は証拠物は遅滞なくこれを裁判所に提出しなければならなく、但し裁判所の許可を得たときは、原本に代え、その謄本を提出することができるのであるが、記録に徴するも果して原裁判所が右各証拠の原本に代えその各謄本の提出の許可を与えたかどうかが明らかでなく或は該許可の手続を履践することなく漫然その各謄本を受理した訴訟手続における法令違反の廉を存する疑がないわけではないがしからばとて所説のように右各証拠の原本が記録に編綴せられていないから原判決が右のように之を挙示することのできないものともなしがたく結局未だこの程度の瑕疵だけでは判決に影響を及ぼすものとは認められないので論旨は之を採用しない。